最終確認日:2026年10月30日 / 根拠:中小企業等協同組合法
事業協同組合は、中小企業者が互いに協力し、助け合う精神(相互扶助の精神)に基づいて共同で事業を行い、経営の近代化・合理化と経済的地位の改善向上を図るための組合です(中小企業等協同組合法)。組合員の事業を支援・助成するための事業であれば、ほとんどすべての分野で実施できます。
組合員になろうとする4人以上が発起人となれば設立でき(同法第24条)、同じニーズを持つ事業者だけで比較的自由に設立できるため、中小企業者にとって設立しやすい、最も代表的な組合として広く普及しています。
従来は同業種の中小企業で設立するケースがほとんどでしたが、最近では、異なる業種の事業者が連携して設立し、それぞれの技術や経営のノウハウを出し合って、新技術・新製品の開発や新市場の開拓などをめざす組合も増えています。
組合の地区内で商業、工業、鉱業、運送業、サービス業などの事業を行う小規模の事業者(中小企業者)で、定款で定める者です(同法第8条)。
事業協同組合は、生産、加工、販売、購買、保管、運送、検査などの共同事業や、組合員への事業資金の貸付け、福利厚生、教育・情報提供、新商品・新技術の研究開発や需要の開拓、団体協約の締結などを行えます(同法第9条の2)。多くの組合が行っているのは次のような事業です。
| 事業 | 内容と効果 |
|---|---|
| 共同生産・加工 | 個々の組合員では持てない高額・新鋭の設備を組合が導入し、組合員が必要とするものを生産・加工して供給します。原価の引下げ、規格の統一、品質の向上などが図れます。 |
| 共同購買 | 組合員が必要な資材などを組合がまとめて購入し、組合員に供給します。仕入価格の引下げ、決済条件などの取引条件の改善、品質の均一化などが図れます。 |
| 共同販売 | 組合員の製品を組合がまとめて販売します。販売価格や決済条件が有利になるほか、大口の販路の開拓が図れます。 |
| 共同受注 | 組合が注文を受け、組合員に仕事をさせて組合が納品します。組合員に注文をあっせんする方法もあります。 |
| 共同検査 | 組合員の製品、設備、原材料などの品質・性能や、仕事の完成状況を検査します。品質の維持・改善、規格の統一が図れます。 |
| 市場開拓・販売促進 | 共同で市場調査や展示会を開催したり、広告・宣伝、共同売出しなどを行います。個々の企業では採算が合わない事業も、共同なら実施できます。 |
| 研究開発 | 組合が研究施設を設けたり、公的な試験研究機関に研究を委託したりして、新製品・新技術などの開発を行います。 |
| 情報提供 | 需要動向、技術情報、業界情報、経営管理情報などを集めて組合員に提供します。組合をPRする情報の発信も大切な事業です。 |
| 人材養成 | 組合員やその後継者、従業員などを対象に、計画的・体系的な教育研修を行います。 |
組合は、次の要件を備えなければなりません(同法第5条)。
「協同組合」と「会社」(代表的なものは株式会社)は、ともに法人で管理面などに多くの類似点がありますが、理念や性格には大きな違いがあります。協同組合は、営利を目的とする会社と、営利を目的としない公益的な法人との中間的な性格を持つ法人です。
| 項目 | 事業協同組合 | 株式会社 |
|---|---|---|
| 組織の基本 | 組合員という限定された「人」が中心 | 「資本」が中心 |
| 出資の制限 | 1人の出資は原則として出資総口数の25%まで(同法第10条) | 制限なし |
| 議決権 | 出資額にかかわらず1人1票(同法第11条) | 株式数に比例 |
| 剰余金の配当 | 組合事業の利用分量に応じた配当が中心。出資額に応じた配当は年1割まで(同法第59条) | 制限なし |
| 目的 | 組合員が組合事業を利用することで、組合員の事業に役立つこと(相互扶助) | 利潤をあげて株主に配当すること |
「相互扶助」とは、中小企業者が組合を結成し、協同してより大きな目的に取り組み、各組合員が共同事業を利用することで組合員の利益を増進するという関係をいいます。この相互扶助こそ、組合を貫く根本精神です。組合の事業は組合自身の利益の追求ではなく、組合員に直接事業の効果を与えることを目的として行われます。
中小企業者は、規模が小さく、資金調達力、情報収集力、技術力などの面で不利な立場に立たされることが少なくありません。同業種や異業種の中小企業者が連携して組合をつくり、共同で事業を行うことで、生産性や対外交渉力を高め、経済的地位の向上を図ることができます。
組合の設立に当たっては、組合員となる中小企業者が行おうとする共同事業の種類や内容によって、組合の種類を選ぶことが大切です。