農地法の許可・届出(農地転用・農振除外)
最終確認日:2026年10月30日 / 根拠:農地法(令和7年6月1日施行の改正後)第2条〜第5条・第64条・第67条・附則第2項、農地法施行令第5条〜第8条、農地法施行規則第43条、農業振興地域の整備に関する法律第11条・第12条の2・第13条、農業経営基盤強化促進法(令和5年4月1日施行の改正後)
農地を売買・貸借したり、住宅や駐車場などの農地以外のものにしたりするには、農地法の許可などが必要です。許可を受けないでした売買・貸借は効力を生じません(農地法第3条第6項)。また、無許可の権利移動や転用には、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金が科されることがあり(同法第64条)、法人が無許可で転用(第4条・第5条違反)をした場合の罰金は1億円以下です(同法第67条)。
1 八重山地域の窓口
| 窓口 | 所在地・電話 |
| 石垣市農業委員会事務局 | 〒907-8501 石垣市真栄里672番地(石垣市役所) Tel 0980-82-1563 |
| 石垣市 農林水産商工部 農政経済課(農業振興地域) | 〒907-8501 石垣市真栄里672番地(石垣市役所) Tel 0980-82-1307 |
| 竹富町農業委員会事務局 | 〒907-8503 石垣市美崎町11番地1(竹富町役場) Tel 0980-82-3116 |
| 与那国町農業委員会事務局 | 〒907-1801 八重山郡与那国町字与那国129番地(与那国町役場) Tel 0980-87-3583 |
| 沖縄県 八重山農林水産振興センター | 〒907-0002 石垣市真栄里438-1 八重山合同庁舎4階 Tel 0980-82-3043 |
| 沖縄県 農林水産部 農政経済課 | 〒900-8570 那覇市泉崎1-2-2 行政棟9階(北側) Tel 098-866-2257 |
2 「農地」とは
- 農地法上の「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいいます(農地法第2条第1項)。田、畑、果樹園などが該当します。
- 農地かどうかは、登記簿の地目ではなく、土地の現況で判断されます。登記地目が山林や原野、雑種地などであっても、現況が農地であれば農地法の規制を受けます。一時的に耕作されていない休耕地や耕作放棄地でも、耕作しようと思えばいつでも耕作できる状態であれば、農地として扱われます。
- 現況が農地であるかどうかの判断は、農業委員会が行います。
- 逆に、登記地目が「田」「畑」でも、長い間耕作されず農地に復元することが困難になっている場合などは、農業委員会で「非農地証明書」の交付を受けられることがあります。この証明書があれば、法務局で地目を変更する登記の申請ができます。
- 「地目が農地でないから許可はいらない」と自己判断して売買・貸借・転用をすると、現況が農地であった場合には農地法違反となるおそれがあります。判断に迷うときは、農業委員会や当事務所にご相談ください。
3 農地法第3条(農地を農地のまま売買・貸借する)
農地を農地のまま売買したり、貸し借りしたりするには、農業委員会の許可が必要です(農地法第3条第1項)。令和5年4月1日から、権利を取得する人の経営面積の下限面積要件は廃止されましたが、それ以外の要件は維持されています。
許可されない主な場合(農地法第3条第2項)
| 要件 | 内容 |
| 全部効率利用 | 権利を取得する人やその世帯員等が、機械・労働力・技術などからみて、取得後に耕作する農地のすべてを効率的に利用すると認められない場合は許可されません(第1号)。 |
| 農地所有適格法人 | 農地所有適格法人以外の法人が所有権などを取得しようとする場合は許可されません(第2号。ただし、下記の貸借の特例があります)。 |
| 農作業常時従事 | 権利を取得する人(農地所有適格法人を除く)やその世帯員等が、農作業に常時従事すると認められない場合は許可されません(第4号)。原則として年間150日以上が目安です。 |
| 転貸の禁止 | 農地を借りて耕作している人が、その農地をさらに貸し付けることは、一時的な場合などを除いて許可されません(第5号)。 |
| 地域との調和 | 取得後の耕作の内容や農地の位置・規模からみて、農地の集団化、農作業の効率化など、周辺の農地の効率的かつ総合的な利用に支障を生ずるおそれがある場合は許可されません(第6号)。 |
- このほか、信託の引受けによる取得(第3号)なども許可されません。
- 通作距離(住所から農地までの距離)も、農地を効率的に利用できるかどうかの判断材料になります。
- 貸借の特例:農地を借りる場合は、農地所有適格法人でない一般の法人や個人でも、�@農地を適正に利用しないときは契約を解除する旨の条件が書面の契約に付されていること、�A地域の他の農業者と適切に役割分担して継続的・安定的に農業経営を行うと見込まれること、�B法人の場合は業務執行役員等のうち1人以上が耕作に常時従事することを満たせば、許可を受けられます(第3条第3項)。
4 農地法第4条・第5条(農地を転用する)
- 第4条:自分の農地を、自分で住宅・店舗・駐車場・資材置場・太陽光発電設備など農地以外のものにする場合に必要な許可です。
- 第5条:農地を農地以外のものにするために、他人の農地を買ったり(所有権移転)、借りたり(賃借権などの設定)する場合に必要な許可です。第4条の基準に加えて、権利を取得してまで転用する必要性があるかどうかも審査されます。
| 区分 | 申請者 | 例 |
| 第4条 | 農地を転用する人 | 土地所有者 |
| 第5条 | 権利を譲り渡す人と、譲り受けて転用する人の両方 | 売主と買主、貸主と借主 |
許可権者と申請の窓口
- 転用の許可権者は都道府県知事(農林水産大臣が指定した「指定市町村」ではその市町村長)です(第4条第1項・第5条第1項)。石垣市・竹富町では沖縄県知事が、与那国町では、県の条例による権限の移譲を受けた与那国町長が許可を行います(沖縄県の資料(2019年時点)による)。
- 申請書は、農地のある市町村の農業委員会を経由して提出します(第4条第2項)。
- 同一の事業で4ヘクタールを超える農地を転用する場合、知事等は、許可の前に農林水産大臣に協議します(附則第2項)。以前の「4ヘクタール超は農林水産大臣の許可」という仕組みは、平成28年4月から変わっています。
- 国・都道府県による道路などの施設のための転用、土地収用法による収用などの場合は、許可が不要です(第4条第1項各号)。
許可基準のあらまし
転用の許可は、農地の区分による立地基準(次の5を参照)と、次のような一般基準の両方を満たす必要があります(第4条第6項・第5条第2項)。
- 転用に必要な資力・信用があり、関係権利者の同意を得ているなど、申請どおりの用途に確実に使われると認められること
- 土砂の流出や崩壊、農業用用排水施設への支障など、周辺の農地の営農条件に支障を生ずるおそれがないこと
- 地域の担い手への農地の利用の集積など、地域における農地の効率的かつ総合的な利用に支障を生ずるおそれがないこと
- 資材置場などの一時転用の場合は、利用後に確実に農地に戻されること
- 転用面積は、事業の目的からみて適正な規模であること(住宅の敷地面積などには審査上の目安があります)
詳しい基準は、農地法の許可に係る審査基準、農地法関係事務処理要領、農業振興地域制度、農地転用許可制度等について(農林水産省資料)をご覧ください。石垣市には、このほかに「石垣市土地保全・利活用計画」もあります。
5 農地の区分と転用の許可方針

「農業振興地域」は、おおむね10年以上にわたり総合的に農業振興を図るべき地域として指定された地域です。このうち、特に農用地として利用を確保すべき土地が「農用地区域」(いわゆる農振農用地・青地)、それ以外が「農振白地地域」です。
| 区分 | 主な要件 | 許可の方針 |
| 農用地区域内農地 | 市町村の農業振興地域整備計画で農用地区域とされた区域内の農地 | 原則不許可(農用地利用計画で指定された用途に使う場合、一時転用の場合などは例外) |
| 甲種農地 | 市街化調整区域内の特に良好な営農条件を備えた農地(土地改良事業等の工事完了後8年以内の農地など) | 原則不許可(土地収用法の告示に係る事業の場合などは例外) |
| 第1種農地 | おおむね10ヘクタール以上の一団の農地、土地改良事業等の対象となった農地など、良好な営農条件を備えた農地(農地法施行令第5条) | 原則不許可(土地収用法対象事業の用に供する場合、地域の農業の振興に資する施設、集落に接続して設置される住宅など、例外あり) |
| 第2種農地 | 鉄道の駅が500m以内にあるなど市街地化が見込まれる区域の農地、生産性の低い小集団の農地など | 周辺の他の土地に立地することができない場合などは許可 |
| 第3種農地 | 鉄道の駅が300m以内にあるなど、市街地の区域又は市街地化の傾向が著しい区域にある農地 | 原則許可 |
- 第1種農地の要件に当てはまっても、第3種農地の区域や、第2種農地のうち市街地化が見込まれる区域(農地法施行令第8条)にある農地は、第1種農地ではなく第3種・第2種農地として扱われます。ただし、市街化調整区域内の甲種農地にあたる農地は除きます(農地法第4条第6項第1号ロ)。
- 第3種農地には、�@水管・下水道管・ガス管のうち2種類以上が埋設された道路(幅員4m以上。農業用道路などを除く)の沿道の区域で、容易にこれらの施設の便益を受けられ、かつ、おおむね500m以内に2つ以上の教育施設・医療施設などの公共施設・公益的施設がある農地や、�Aおおむね300m以内に、船舶の発着場、県庁・市町村役場(支所を含む)、又はこれらに類する施設がある農地などが含まれます(農地法施行令第7条、農地法施行規則第43条)。
- 第1種農地で例外的に許可される場合の詳細は、転用の例外をご覧ください。
6 農振除外・軽微な変更
農用地区域内の農地は、原則として農地以外の用途に使うことはできません。使う場合は、まず市町村が農用地利用計画を変更して農用地区域から除外(農振除外)し、そのうえで農地転用の許可を受ける必要があります。
農振除外の要件(農振法第13条第2項)
農振除外は、次の要件をすべて満たす場合に限り行うことができます。
- 農用地区域以外の土地の利用状況からみて、その土地を農用地以外の用途に使うことが必要かつ適当で、農用地区域以外の土地で代えることが困難であること(自分の土地だけでなく、地域の他人の土地も含めて代わりがないことが必要です)
- 農用地区域内における地域計画の達成に支障を及ぼすおそれがないこと
- 農用地の集団化、農作業の効率化など、農用地区域内の土地の農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼすおそれがないこと
- 効率的かつ安定的な農業経営を営む者への農用地の利用の集積に支障を及ぼすおそれがないこと
- 土地改良施設などの機能に支障を及ぼすおそれがないこと
- 土地改良事業等の施行区域内の土地の場合は、工事完了の翌年度から8年を経過していることなど、政令で定める基準に適合していること
あわせて、除外後に確実に転用され、申請目的どおりに速やかに使われる見込みがあることや、他法令の許認可の見込みがあることなども求められます。
手続きの流れ
- 市町村の農業振興地域担当課に、農振除外の申出をします。
- 市町村が、農業委員会・土地改良区などの意見を聴き、農用地利用計画の変更案を作ります。
- 変更案が公告され、おおむね30日間縦覧されます。縦覧期間満了の翌日から15日以内に、異議の申出ができます(農振法第11条)。
- 市町村が県知事と協議し、同意を得て、変更を公告します。
- その後、農地転用の許可申請を行います。
- 農振除外は、土地所有者の申出に基づいて当然に行われるものではなく、市町村が農業振興の観点から判断して行うものです。申出は、市町村が判断するための資料として扱われます。
- 農業振興地域整備計画は、おおむね5年ごとの基礎調査(農振法第12条の2)に基づく「総合見直し」と、随時受け付ける「一部見直し(随時変更)」で変更されます。一部見直しで受け付けられる用途は限られ、石垣市では受付の条件が定められています(令和6年度 石垣市の「農地転用一部見直しの条件(一部見直し変更基準)」)。
- 申出から結果が出るまでには、長い期間がかかります。除外が認められない場合のほうが圧倒的に多く、「いずれ農振が外れる」といった根拠のない説明で農用地区域内の土地を購入することには注意が必要です。
軽微な変更(農業用施設用地への用途変更)
農用地区域内に農業用倉庫、農産物の集出荷・貯蔵施設、たい肥舎、農機具収納施設などの農業用施設を建てる場合は、農用地利用計画の用途区分を「農業用施設用地」に変更する手続き(軽微な変更)を経たうえで、転用の許可を受けます。変更後も農用地区域内の土地であることに変わりはないため、農業用以外の用途には使えません。
石垣市では、この軽微な変更(農業用施設用地への用途変更)の手続きは、石垣市 農林水産商工部 農政経済課が担当しています。
7 農地の貸し借りの仕組み(令和5年4月から)
- 以前は、農業経営基盤強化促進法の「利用権設定等促進事業」(農用地利用集積計画)により、農地法の許可を受けずに農地を貸し借りできました。この仕組みは、令和5年4月1日施行の法改正で廃止され、経過措置も令和7年3月31日までで終了しました。
- 現在は、市町村が地域の話し合いを踏まえて定める「地域計画」(農業経営基盤強化促進法第19条)のもとで、農地中間管理機構(農地バンク)を通じた貸し借りが基本になっています。農地中間管理機構の「農用地利用集積等促進計画」によって権利が設定される場合は、農地法第3条の許可は不要です(農地法第3条第1項第7号)。
- このほか、当事者同士で農地法第3条の許可を受けて貸し借りする方法もあります。
8 農地法関係 報酬額一覧
| 業務 | 個人 | 法人 |
| 農地法第3条許可申請 | 44,000円 | 55,000円 |
| 農地法第4条許可申請 | 66,000円 | 77,000円 |
| 農地法第5条許可申請 | 99,000円 | 110,000円 |
軽微な変更(農業用施設用地) ※ただし、農業用施設200�u以内に限る | 120,000円 | 150,000円 |
| 農振除外申出 | 165,000円 |
| その他の業務 | 報酬 |
| 農業用施設建設に係る意見書(土地改良区。農用地区域内の農業用施設の新設で、土地改良地区の場合に必要) | 33,000円 |
| 義務履行証明書(石垣市役所・竹富町役場。各課の証明申請の代理を含む) | 16,500円 |
| 非農地証明申請 | 44,000円 |
| 現況証明・耕作証明・納税猶予の適格者証明・農用地区域内外の証明などの各種証明書の申請 | 22,000円 |
| 買受適格証明申請(農地の競売に参加するための証明書) | 22,000円 |
| 青年等就農計画の作成 | 220,000円 |
| 認定農業者の認定申請(農業経営改善計画の作成) | 275,000円 |
- 報酬は税込みの標準額で、事案の難易度により加減算があります。
- 登記事項証明書、公図、住民票の写しなどの取得にかかる実費は別に必要です。
- 添付書類として平面図などを作成する場合は、その費用が別に必要です。
- 農振除外の申出は、認められない場合のほうが圧倒的に多い手続きです。お引き受けする前に、認められる見込みとリスクについてご依頼者と十分に話し合い、ご了解をいただいたうえで受任しています。
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農地法の許可や農振除外は、農地の区分や地域の計画、審査基準によって結論が大きく変わる手続きです。行政書士事務所「オフィス石垣」が、事前の調査と見込みの検討から、申請書類の作成、農業委員会・市町村・県との事前相談、申請の代理まで、農地に関する手続きをサポートします。
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