八重山の夏はハーリーから <ハーリーが終われば八重山に夏が来る>
このページは、毎月1回、その月の八重山を紹介していく歳時記のページです。
不思議の国、八重山の歳時記は内地のそれとはちょっと違うのです。

【6月の八重山歳時記】
八重山の夏はハーリーが終わればやってくる。
例年、旧暦5月4日に開催される石垣島ハーリー(爬竜船競漕大会)、その日が平日だろうが全くお構いなしに開催される。
今年のハーリーは、6月19日(金曜日)【旧暦5月4日】になった。ハーリーは、観客が多いか少ないか、漕ぎ手が仕事を休めるかどうか、そんなことはまったく関係なしに旧暦で開催されるのだが、今年はたまたま日曜日にあたり、観客も多い。今年の梅雨はけっこう雨が降ったが、これでやっと梅雨が明けるのだ。
八重山は、沖縄本島から実に420Kmも南に離れているので、例年のことながら、気象庁が発表する「沖縄地方の梅雨明け宣言」なんかは全く当てにならず、沖縄本島が梅雨明けする頃には、八重山ではとっくに梅雨が明けている。
だから、島人は気象庁の梅雨明け宣言などハナから信用しておらず、「ハーリーの鉦(カネ)が鳴ったら梅雨が明ける訳さあ」と、気象庁よりハーリーのほうを信用しているのだ。
今年の八重山の梅雨入りは例年よりずいぶん遅く、5月20日に気象庁の「梅雨入り宣言」が出た。「ハーリーの鉦(カネ)が鳴ったら梅雨が明ける」とすれば、今年の梅雨は1ケ月ということだ。
沖縄県は東西1000Km、南北400Kmの広い海域に散在する多くの島からなり、日本列島の南北距離約3000Kmの3分の1にも相当する。
沖縄県の東端大東島から西端の与那国島までの直線距離は実に約1000Km離れており、沖縄の面積は、本州、四国、九州を合わせた広さの半分にもなり、1000Kmというのがいったいどれほどの距離かと言うと、実に東京−長崎間の直線距離に匹敵するのだ。
沖縄県という県は、一県だけで、実にこんな広大な県なのだ。こんな広い地域をひとくくりにして「沖縄地方」などと呼ぼうと思うのが、そもそも大きな間違いだ。 |
先にも触れたが、「ハーリー」とは、旧暦の5月4日(ユッカヌヒー)に開催される海人(うみんちゅ)たちの祭りで「海神祭」と呼ばれており、海の神への感謝や航海安全・大漁などを祈願する神事で、「サバニ」という沖縄独特の漁船を装飾した爬龍船(はりゅうせん)を競漕させる沖縄の伝統的な行事なのです。
この行事は、中国や香港・タイ・シンガポールなど、今日でもアジア各国で盛んに行われている「ドラゴンボート競漕」の一種で、日本では、長崎で行われている「ペーロン競漕」などともルーツは同じようだ。
長崎のペーロンは「白龍」の中国音のパイロンがなまったものと言われていて、沖縄のハーリー爬龍」は中国語で龍が(天に)登ること、いずれも、中国伝説の龍が深く関係している。沖縄も中国も日本(大和)も、世界はひとつだね。
「龍」だから、当然、漕ぎ手は勇壮に漕がないと格好がつかないのだ。

香港のドラゴンボート競漕 長崎のペーロン競漕
八重山のハーリー

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爬竜船(サバニ) |

応援にも力が入ります |

漕ぎ手の息が合わないと前に進みません |

爬竜船の喫水は浅い バランス崩すと転覆 |

爬竜船には、漕ぎ手・舵取り、合わせて11名が息を合わせてひとっ漕ぎ! |

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石垣島では、「ハーリー」は登野城漁港・白保・船越の三箇所で行われ、このときだけは、日頃のんびりした八重山の男たちも立派な男の顔になるのです。

エメラルドグリーンに輝く東シナ海で、真っ黒に日焼けした男達が力強くにエーク(櫂)を漕ぎ、白い水飛沫をあげながら進む爬龍船を眺めているうちに・・・いつの間にか、この八重山に日本一早い夏がやって来る。
八重山はこれからが夏本番、強烈な日差しのおかげで海も山も植物も一番色鮮やかに見える季節、ながいなが〜い八重山の夏の始まりだ。
夜来香(イェライシャン:ナイトジャスミン Night-Gasmine)
6月の夜、石垣の街を歩くと、何処からともなく甘ったるい香りが漂ってくる。夜来香(イェライシャン)の香りだ。
この花の香りはとても色っぽく、甘酸っぱい年頃の女性の体臭を感じさせるなんとも言えない香りです。
この花は、夜間にだけ咲き、芳香を漂わせることから「夜来香」と呼ばれ、中国や熱帯地方に夢を抱く多くの日本人の憧れの花となっていて、昔から場末の繁華街には「夜来香」という名の店が多いのだ。いったい日本中に「夜来香」という名前のバーとか中華料理店が何千軒あるだろう・・・。
この夜来香という花を題材にした歌謡曲は、昭和13年に佐伯孝夫が作詞して黎錦元(錦光): Ching-Kwang Leeという中国人が曲を書き中国名李香蘭 (山口淑子)が唄った曲で、日本全国に大ヒットした、お祖父さんやお祖母さんなら誰でも知っている上海を舞台とした名曲なのです。
お祖父さんやお祖母さんの世代になると、この曲を聴くだけで涙が出てくるという人も居ます。
あわれ春風に 嘆くうぐいすよ
月に切なくも 匂う夜来香 この香りよ
長き夜の泪 唄ううぐいすよ
恋の夢消えて 残る夜来香 この夜来香
夜来香 白い花 夜来香 恋の花
胸いたく うたかなし
ところが、実際に夜来香の花を見たことのある人や、この花の甘ったるい不思議な香りを嗅いだことのある人は、内地にはほとんど居ないのです。
やっぱり八重山は亜熱帯の島なのだ。

なんだか少し得したような気分で、この花を一枝折ってきて、PCの横に飾るのが僕の6月の恒例だ。


※チャータークルーズコース(貸切周遊船) クルーザーボートを丸一日貸し切ってちょっと豪華にチャータークルーズ
※石垣/竹富2島周遊ガイド 石垣島で海遊び・竹富島でサイクリングの欲張りコース
※西表島日帰り周遊ガイド 1組専属ガイド付西表島日帰り周遊の贅沢コース
※ビーチエントリーシュノーケルコース 船に乗らずにビーチからシュノーケル 小さな子供さんも安心です
※ボートで行く1日シュノーケルコース ボートでリーフエッジに行って素晴らしいサンゴ礁でシュノーケルします
※石垣島ナイトウォッチング 八重山の旅の夜、宿でじっとしていることはありません
不思議の国八重山の6月のお話です。
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