八重山の希少動物たち

隆起と沈降を繰り返して出来上がった八重山諸島、琉球列島は、大昔はアジア大陸の東縁だったこともあり、フィリピン海の北の海の底だった時期もある。
琉球列島は、もともと中国大陸の沿岸だったものが、太平洋の底を東から西に流れる「マントル溶岩流」に引っ張られて島になったのだそうだ。
大陸とつながっていた時期に大陸から渡ってきた動物たちは陸地に取り残され独自の進化を遂げ、琉球列島や八重山諸島だけで生き残った。
こんな不思議な希少動物たちは八重山の固有種となって生息しているのだ。この代表格がイリオモテヤマネコだ。

琉球列島が現在のような小さな島々に分離したのは、およそ100万年前(新生代 第四期)のことで、これらの島々を珊瑚礁が取り巻いて現在の形になった。

ここにとりあげた動物たちのなかには、「希少種」というほどでないものも居るが、みんな八重山の人気動物たちだ。

 
 





ヤシガニ

八重山に生息する夜行性のヤドカリの仲間で昼間は海岸の割目や穴の中を巣にして潜んでおり、夜9時頃を過ぎると巣穴から出てきて海岸近くの森の中などで「アダン」の実や小動物などを捕食する。
幼生は、地元で「マーニー」と呼ぶ椰子科の植物の茎を住処にしている。
オカヤドカリ」と混同している地元の人もいるが、オカヤドカリとはまったく別の生物で、寿命が60年近くあると言われる長寿生物、最大で3〜4Kgほどになる。

私が現実に見たことのある最大のものは3.5Kg、全長60〜70Cm近くのもの、人間で言えば80歳を超えたオジイだろう。図鑑を見ると「最大1Kg」とも「最大3Kg」とも記述があるが、少なくとも3.5Kg以上にはなるようだ。
私は実際にこの目で見たことはないが、石垣島で過去に捕獲された過去最大のものは4.5Kg?あったそうだ。
・・・まるでエイリアンだね。



セマルハコガメ(背丸箱亀)
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サキシマスジオ(先島筋尾)
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丸く盛りあがった背甲と腹甲中央にある蝶番構造が特徴で、完全に手足を甲の中に格納することができる。

国指定の天然記念物で、八重山諸島の固有種。

ある日、玄関から出たところ、こいつが玄関前の土間で昼寝していました。
日本に生息する唯一のスジオ類のヘビで、国内最大のヘビだ。
「スジオ」の名前は尾に明瞭な黒条があることから名付けられたもので、体色はくすんだ黄褐色かオリーブ色で黒斑が散在し、舌は赤色。無毒のヘビだ。

僕は、3mを超える大物を観たことがある。

ヤエヤマサソリ
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ヤシガニ

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日本にサソリがいるって知っている人はほとんど居ないが、実は2種類居るのです。
八重山には、このサソリの他にもう1種類「マダラサソリ」というのがいる。

家に入ってくることもあるが、微毒で、刺されてもたいしたことはないようだ。
ウチの猫は、このサソリを食べたが、味のほうは本人が何も言わないので分かりません。
陸上最大(4s)・最強(?)の甲殻類。
乱獲により個体数が相当に減ったが、まだまだ八重山には棲息している。
沖縄本島などでは、ほぼ絶滅した。
レッドデータ記載の絶滅危機にひんした動物でもあり、夜間、巣穴から出てきてエサを探す。

「ヤシガニ」という名だが、こいつがヤシの実を食べているところを、僕は見たことがない。

ノコギリガザミ
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ミナミコメツキガニ
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マングローブ林や湿地帯の泥砂地に生息するワタリガニの仲間で、とても美味しい。生物学的には、特に希少種ではないが、近年、急激に固体数が減って石垣島の魚市場にも週に数匹しか入荷しなくなった。 マングローブ林や湿地帯に大群で生活しているので「軍隊ガニ」とも呼ばれる。

人の姿を見ると一斉に巣穴に戻ってしまう。

サキシマキノボリトカゲ
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ミナミトビハゼ
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沖縄本島のキノボリトカゲは綺麗な緑色をしているが、石垣島のサキシマキノボリトカゲは茶色っぽい個体が多いのだ。

あまり人を恐れず、逃げ足も遅いので、簡単に捕まる。
なかなか可愛い愛嬌者だ。
マングローブ林や湿地帯の泥砂地に生息するハゼ。

前ビレを足のように器用に使って陸に上がったり、木に登ったりする人気者だ。
沖縄では、その飛び跳ねる姿から「トントンミー」とも呼ばれて親しまれている。
      

オカヤドカリ
(ムラサキオカヤドカリ)
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イリオモテヤマネコ

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天然記念物であるオカヤドカリは、はじめ海で生活し、成長すると陸に上がって生活する。

親は腹に抱えた生まれたばかりの子供(幼生)を放とうと海までやってくるが、水が苦手なので波にさらわれないよう懸命だ。

沖縄のオカヤドカリは、全種が天然記念物だが、実はどこにでもおり、島人(しまんちゅ)は「釣りのエサ」くらいなしか思っていないのです。
釣道具屋でバケツに入れられて売っているのを見たこともあるのだが・・
イリオモテヤマネコが生物学的に「新種」と認められたのは1965年のことだ。

それまで、地元の人の一部はこの動物の存在を当然知っている人も多かったし、なかには「食べたことがある」という年寄りも居る。

イリオモテヤマネコは劇的な発見のされ方をしてニュースで大きく取り上げられ、西表島を一躍有名にした。
これが居なかったら、誰も「イリオモテ」と読める内地人は居ないだろう。