月ぬ美しゃ(つくぃぬかいしゃ)        八重山(石垣島)民謡

(つく)(かい)しゃ十日(とぅか)三日(みーか) ()(やらび)(かい)しゃ(とう)(なな)

ホーイ チョーガ−

(あーるぃ)
から(あー)りおる大月(うふつく)(ゆー) (うくぃ)(なー)()()()()らしょーり

ホーイ チョーガ−

あんだぎなーぬ 大月(うふつく)(ゆー) (ばー)が 彼(けー)ら (あそ)びょーり

ホーイ チョーガ−

びらーまの(やー)(あー)んたんが、むりく(ぱな)()かようり

うり()るぃ()()ぃなつぃきばし  びらまの(やー)(はな)()んな

ホーイ チョーガ−

釜土(かまどぅ)の縁(ふつぃ)のあっぴゃーま (ぬう)どう(ぬう)ど 旨(ぅんま)さーる
※あっぴゃーま=ばーさん

煙草(たばく)下葉(すぃたば)と ぅんまさーる 茶飲(ちゃの)みばや(んが)さーる

ホーイ チョーガ−



曲の意味
月が(いちばん)美しいのは十三夜 乙女が美しいのは十七歳の頃
東から上がる大きなお月様の夜 沖縄、八重山(の島々)を照らして下さい
あんなにも大きな(すてきな)お月様の夜は さあ、みんなで遊びましょう
(以下略)


曲の背景
八重山のムラニ(守姉:子守りをする娘)たちが歌った八重山の「夜の子守唄」と言われている。
八重山だけでなく沖縄本島でも愛されている曲であると同時に、1972年にNHK「みんなのうた」でフォークグループの「赤い鳥」が美しいコーラスで歌って全国的に知られた叙情あふれる素晴らしい名曲だ。

八重山方言で「美しゃ」というのは、ただ単に「美しい」という意味だけではなくて、「愛しい」とか「可愛らしい」とか「仲睦ましい」とかいうニュアンスを含んだ総合的な愛情表現の言葉だ。

かつて、民族学者の柳田國男は、本土のわらべうた「お月様いくつ十三七つ」の歌詞のルーツは、「月ぬ美しゃ」ではないかと推測して発表している。