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愛すべき珍生物、石垣島のヤシガニ君
八重山のヤシガニ(オカヤドカリ科 別名:オイハギガニ 学名 Mirgus Lanne)
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ヤシガニは八重山に生息する夜行性のヤドカリの仲間で、昼間は海岸に近い岩の割目や岩の下の穴の中を巣にして潜んでおり、夜8時頃を過ぎると、巣穴から出てきて海岸近くの森の中などで、「アダン」の実やその他の木の実、果実を常食としているが、ときにはミミズや昆虫などの小動物、人家の近くでは残飯なども捕食する。
これほどにヤシガニの生態は闇の中で人に知られておらず、まさに不思議の生物なのだ。 2〜3cmの幼生のころには森の中の地元で「マーニー」と呼ぶ椰子科の植物の網のような茎の中に隠れて身を守っているのを実際に何度か見た。 稚ガニ期に殻を背負っていると言われていることから(僕は一度も見たことがないので、これも俗説かも知れない)「オカヤドカリ」と混同している地元の人もいるが、オカヤドカリとはまったく別の生物で、ヤシガニの寿命は60年近くあると言われる。 これについても、実際に60年も個体の観察を続けた人が居るとは思えないので、その根拠は薄いが、「西海区水産研究所石垣支所」によれば、ヤシガニは1年で胸長が数ミリしか大きくならないと言う。 ヤシガニは、最大で3〜4s近くになり、僕が現実に見たことのある最大のものは3.5s、全長70cm近くのもの、60歳寿命説がほんとうなら人間で言えば80歳を超えたオジイだろう。図鑑では「最大1s」とも「最大3kg」ともあるが、少なくとも3.5kg以上にはなるということだ。 僕が実際にこの目で見たものではないが、石垣島で過去に捕獲された最大のものは4.5s?あったそうだ。 八重山では、一昔前には、ごく普通に観られる生物だったが、近年は極端に固体数が減り貴重な生物になった。日本では、奄美大島以南に生息しているが、奄美や沖縄本島では乱獲により殆ど絶滅状態に近く、日本でヤシガニをまともに観ることができるのは今や宮古諸島と八重山諸島の一部の地域だけとなった。 どうしてこのヤシガニが乱獲されるかというと、ズバリ食べて旨いからだ。 八重山人はヤシガニを見かけると、ほとんど完璧に捕まえて茹でて食べてしまう。伊勢海老より美味しいという人もいるが・・・・・本当のところは珍しいだけで伊勢海老のほうがずっと美味しいと思う。 僕の知人が八重山でこのヤシガニを食べ、あまりに美味しかったので、帰りに生きたヤシガニを捕まえて内地に持ち帰った。土産話に友達を家に呼んでご馳走したところ、誰ひとり美味いと言わない、自分も食べてみたが、なるほど、たいしたことはない。「あれは八重山で食べたから美味しく思っただけだった。」というのが、彼の後日談である。 ヤシガニは、絶滅危惧種(環境庁指定の絶滅危惧II類)に指定されている貴重な種、もうそろそろ「食用」にするのだけはヤメタほうがいいと思う。このままヤシガニを食べ続ければ遠からず、国内のヤシガニは絶滅してしまうだろう。 ![]() 自然界のヤシガニは3〜4ケ月に一度づつ脱皮しながら成長する。 脱皮期は殻が柔らかく非常にデリケートで、共食いにあわぬよう、脱皮期は1mほどの穴を掘って穴の中で脱皮し、1ケ月ほど穴の中で体力を回復してから地上に出てくるが、穴をちゃんと塞いでおかないと、後から別のヤシガニが侵入して脱皮中の抵抗できないヤシガニを食べてしまう。ヤシガニたちの世界は非常に生存競争が激しいのだ。 ペットブームで、東京のペットショップで20,000〜30,000円ほどでヤシガニを売っているのをみかけたが、ヤシガニを内地の気候で、しかも飼育箱の中で飼うのは無謀、こいつはやっぱり生息地(八重山)で、少なくとも10u以上の広さがあってヤシガニが「棲み分け」でき、かつ雨露も入ってくる亜熱帯の自然環境下の檻でしか飼育することは不可能だろう。
僕はヤシガニに催眠術をかけられる。ホントだよ。
「ヤシガニ」という名はフィリピンあたりで椰子の実を食べることから来ているようだが、僕自身は、八重山でヤシガニが椰子の実を食べている姿は実際には見たことがない。
ヤシガニにまつわる寓話やホラ話が多いのは、ともかくもヤシガニ君が八重山の人たちに愛されている証拠、八重山の人にヤシガニのことを聞くと、誰もが「夜、海岸に行けば何処にでも居るさー」と言うが、現実には、ほとんど何処を探しても居ない。相当に個体数が減っているのは間違いない。
ヤシガニ君に出会うには、夜9時過ぎの時間帯に浜辺に近い森に行き、琉球石灰岩の岩場や好物のアダンの林があるところ、湧水のあるところなどをを探すのがコツ。 |